価値共創マーケティング 実践ガイド

付録 テンプレート/チェックリスト集

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
付録は「知って終わり」にならないための実務用ツール集です。
印刷しても、社内共有しても、メモ帳に写してもOK。まずは1つだけ使ってみてください。

対象:中小企業(BtoC) 用途:社内共有/現場メモ/会議のたたき台 所要:必要な所だけ(5分〜)

まずはこれだけ:最短で始める「小さな一歩」チェック

最初におすすめしたいのは、これです。
大きなプロジェクトにしなくて大丈夫。まずは“小さく試して学ぶ”ことから始めます。

✅ 最短スタート(5分)

「よく買ってくれるお客さま」を1人だけ思い浮かべる
買う前後の“場面”を3つ書く(迷う→決める→使う)
その場面で出そうな“つぶやき”を3つメモする
つぶやきの中から「一番強い不安」を1つ選ぶ
その不安を減らす改善を「1つだけ」決める

補足

ここでの目的は「完璧な企画」ではなく、改善の方向を掴むことです。
だから“1つだけ”が効きます。

1枚カード(社内共有用):共創の見える化テンプレ

社内を動かすには、説明の上手さより「同じ絵を見る」ことが近道です。
第9章で扱った“1枚カード”を、貼って使える形にしました。

1枚カード|共創の見える化(テンプレ)

※( )内は書き方の例。埋められる所だけでOK。

① いま見えている“迷い/不安”

(例:比較しすぎて決められない/使い始めが不安)

② 本音の証拠(会話・行動・観察)

(例:「結局どれがいい?」が多い/離脱が多い)

③ 仮説(なぜ起きる?)

(例:選び方の目安がない/成功イメージが持てない)

④ 今回の改善(1つだけ)

(例:冒頭で“選び方の目安”を提示する)

⑤ 期待する変化(中間KPI)

(例:「比較の質問」が減る/決めるまでが短くなる)

⑥ 期限(次の確認日)

(例:2週間後に確認)

観察メモ(現場用):買う理由・迷いを拾う

観察で拾うのは「行動」だけではありません。
大事なのは、行動の前後にある迷いのサインや、言葉になっていない小さな手がかりです。

観察メモ(テンプレ)

※“正解”はありません。気づいた順でOK。

見るポイント
メモ(例)
場面(いつ/どこで)
(例:週末の夕方/店頭で比較)
迷いの行動
(例:何度も棚を往復/スマホで検索)
決め手の瞬間
(例:スタッフの一言で表情が変わる)
“つぶやき”
(例:「失敗したくないんだよね」)
不安の正体(仮説)
(例:自分に合うか確信がない)
次に試す改善(1つ)
(例:選び方の目安POPを出す)

対話メモ(インタビュー用):本音が出る質問の型

本音は「意見」より、日常の中の体験の流れに隠れています。
だから、質問も「どう思いますか?」より、その時どうだった?に寄せます。

質問の型(この順で聞くと本音が出やすい)

1

場面から入る

「その時、どこで/誰と/どんな状況でした?」

2

迷いの瞬間を掘る

「迷ったのはどこですか?何が引っかかりました?」

3

不安の言い換えを拾う

「それって、失敗したくない?手間が怖い?恥ずかしい?」

4

決め手を具体化する

「決めた瞬間、何が“OK”になりました?」

5

買った後の変化を見る

「使ってみて、気持ちや行動はどう変わりました?」

注意点(1つだけ)

“正しい答え”を求めないこと。
「それは違います」より「なるほど、そう感じたんですね」が本音を引き出します。

共創セッション運営:90分の進行テンプレ

共創セッションは「意見を出す会」ではなく、迷い→納得を見つける場です。
そのために、議論より体験の共有を中心に進めます。

共創セッション(90分)進行テンプレ

※参加:3〜8名程度が扱いやすい(生活者/現場/企画/営業など)

時間
内容
目的
0〜10分
目的共有・安心のルール
本音が出る空気づくり
10〜30分
体験の共有(いつ/どこで/何が起きた)
“場面”を揃える
30〜50分
迷い/不安の整理(付箋でもOK)
問題の芯を掴む
50〜70分
仮説づくり(なぜ起きる?)
改善の方向を決める
70〜85分
改善案を1つに絞る
やり切れる形にする
85〜90分
次の確認日(2週間後)を決める
学習サイクルにつなげる

必ず決めること(セッションのゴール)

①改善を「1つ」 ②期待する変化(中間KPI) ③次の確認日
——この3つが揃うと、セッションが“実務”になります。

仮説→企画:刺さる仮説の言語化シート

「インサイト」は、難しい言葉にしなくて大丈夫です。
大切なのは、現場で拾った“つぶやき”を、企画が動く言葉に変えることです。

刺さる仮説(テンプレ)

※文章は短くてOK。まずは「言い切る」

観察/対話で拾った“つぶやき”

(例:「これ、失敗したら嫌だな…」)

その時の状況(場面)

(例:初めて使う直前/家族の目がある)

不安の正体(なぜ怖い?)

(例:やり直しが面倒/恥をかきたくない)

仮説(言い切り)

(例:人は“失敗の想像”が強いと買えない)

企画の方向(体験でほどく)

(例:最初の一歩を“失敗しにくく”する)

検証(何が減れば効いた?)

(例:「不安の質問」が減る/決めるまでが短い)

伝え方・売り方:迷い→納得の体験設計チェック

「伝える」は、情報を増やすことではありません。
お客さまの中で起きている迷いをほどく順番を整えることです。

✅ 迷い→納得:体験設計チェック

冒頭で「選び方の目安」を出している(迷いの地図)
比較のポイントを“3つ以内”に絞っている
不安が出る瞬間に、先回りして答えている
使う場面(いつ/どこで/誰と)を想像できる
成功のイメージ(どう良くなる?)が具体的
最後に「次の一歩」が明確(買う/試す/相談する)

小さな改善(おすすめ)

いきなり全部を直さず、“迷いが大きい1点”から順番を整えるのが最短です。

KPI設計:3層(行動・中間・結果)テンプレ

KPIは“成績表”ではなく、改善のための計器です。
まずは3〜5個に絞ると回り始めます。

KPI(3層)テンプレ

※空欄OK。取れる範囲で。

指標(例)
確認頻度
行動KPI
(例:2週間サイクルを回した回数/改善を実装した数)
毎週〜隔週
中間KPI
(例:比較の質問が減る/説明が短くなる/不安の言葉が減る)
隔週
結果KPI
(例:購入率/成約率/継続率/売上)
月次

おすすめの最小セット(まずはこれ)

・行動:2週間サイクルを回した回数
・中間:迷いが減ったサイン(質問・会話・離脱など)
・結果:購入率 or 成約率(取れる範囲で)
——この3つで十分、改善が進みます。

2週間で回す:学習サイクル(改善ログ)テンプレ

続く仕組みは「気合」ではなく、小さな型です。
2週間ごとに“1行の学び”が残ると、成果は積み上がります。

改善ログ(2週間サイクル)テンプレ

※1サイクル=A4 1枚くらいで十分。

今回の仮説(言い切り)

(例:人は“失敗の想像”が強いと買えない)

今回の改善(1つだけ)

(例:最初の一歩を“失敗しにくい”形で提示)

見るKPI(3つまで)

(例:不安の質問数/比較の質問/成約率)

現場の証拠(会話・行動)

(例:「それなら安心」が増えた、迷いの質問が減った)

学び(1行で)

(例:先回りで不安をほどくと、決める速度が上がる)

次の一歩(また1つ)

(例:FAQの順番を“迷い順”に並べ替える)

編集後記

最後までお読みいただき、本当にありがとうございます。
ここまで読んでくださったあなたは、すでに「顧客の声を大切にしたい」「現場のリアルから価値を育てたい」という意思を持っている方だと思います。

あらためてお伝えしたいのは、価値共創は“テクニック”ではないということです。
場の設計や問いの立て方、記録の取り方にはコツがあります。
でもそれ以上に大切なのは、企業と生活者(顧客)が同じ目線で向き合い、「一緒に確かめながら育てていく」姿勢です。

だからこそ私は、価値共創が「施策のひとつ」で終わるのではなく、企業文化として根付いてほしいと願っています。
小さく始めて、会話を増やし、学びを共有する。
その積み重ねが、価格ではなく納得と共感で選ばれる理由を、じわじわと強くしていきます。

もし途中で止まりそうになったら、付録のツールを思い出してください。
完璧にやろうとせず、まずは1つだけ
小さく試して、学びを1行残す――それだけで、次の一歩が見えてきます。

ひとこと

共創は「当てる」より「育てる」。
そして、その過程で育つのは商品だけではなく、企業そのものの強さです。
もし「一度やってみたい」と思ったら、誠心誠意サポートします。遠慮なく声をかけてください。

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今の状況を伺いながら、どの章から・どのツールから着手すると最短かを一緒に整理します。
相談だけでもOKです。

※無理な営業はしません。状況の整理だけでも、次の一歩が見えてきます。