価値共創マーケティング 実践ガイド

第7章 学びを「社内の型」にして残す—続く仕組みの作り方

ここまでで、生活者の声を集め、言葉にし、小さく試すところまで来ました。
でも実際の現場では、ここで止まりやすいです。

理由はシンプルで、「やった人の頭の中」に答えが残ってしまうからです。
担当が変わったり、忙しくなったり、優先順位が変わった瞬間に、共創の学びは消えていきます。

第7章では、その“消えやすさ”を防ぐために、学びを社内の型(テンプレ・ルール・運用)として残す方法を扱います。
目指すのは、特別な人が頑張らなくても、小さくても続く状態です。
「会議が増える仕組み」ではなく、「迷いが減る仕組み」にするのがポイントです。

テーマ:仕組み化 目的:属人化を減らす 所要:25〜30分

なぜ学びは消えるのか(続かない3つの理由)

「いい気づきがあったのに、結局戻ってしまった」—これは多くの現場で起きます。
共創が失敗するというより、続ける仕組みがなかっただけ、ということが多いです。

理由1

記録が“人の頭”にある

メモが散らばる/誰も見返せない/引き継げない。
これだと、忙しくなった瞬間に消えます。

理由2

判断が毎回ゼロから

「今回どうする?」を毎回議論すると疲れます。
決め方が決まっていないと、前に進みません。

理由3

担当者の“熱量頼み”

その人が忙しい/異動/退職で止まる。
仕組みがないと、良い活動ほど属人化します。

本章の狙い

「頑張る人がいるから続く」ではなく、頑張らなくても続く形にします。
そのために必要なのが、次のセクションで説明する“型”です。

“型”にするとは何か(テンプレ・ルール・運用)

“型”というと難しく聞こえますが、やることはシンプルです。
共創の学びを、次の3つに分けて残します。

テンプレ

毎回同じ形で記録する

例:事実→気づき→次の一手。
“どこに何を書くか”が決まると、迷いが減ります。

ルール

決め方を先に決める

例:テストは1つだけ変える/1週間で振り返る。
ルールがあると、議論が短くなります。

運用

会議を増やさず回す

例:週15分で「次の一手」だけ決める。
続く運用は“軽い”です。

補足:型のゴール

ゴールは「書類が増える」ことではありません。
誰が見ても次に何をするかが分かる状態です。

まず作る:1枚の「共創メモ」(最小の型)

いきなり分厚い資料を作る必要はありません。
まずは1枚でOK。これがあるだけで、引き継ぎと改善が一気に楽になります。

共創メモ(最小の型/コピペOK)

対象:______(商品/サービス/ページ)

生活者の場面:______(いつ/どこで/何をして)

事実:______(見たこと/起きたこと)

本人の言葉:「______」

気持ち:______(不安/面倒/安心/うれしい)

困りごと:______

仮説:______(なぜそうなる?)

次の一手(小さく1つ):______

確認する反応:______(クリック/問い合わせ/内容の変化)

ポイント

このメモは「文章の上手さ」より、次の一手が1つに絞れていることが大事です。

次に作る:意思決定が早くなる「判断基準」

次に必要なのが「判断基準」です。
これがないと、毎回「どうする?」をゼロから議論します。
判断基準は、難しい言葉より、現場で使える短いルールが一番です。

基準①:迷いが減るならOK

例:同じ質問が減る/読み飛ばしが減る/途中で戻るが減る。

基準②:次の一歩が増えるならOK

例:ボタンのクリックが増える/問い合わせが増える/内容が具体になる。

基準③:手間が増えるなら一旦止める

良いことでも、運用が重くなると続きません。まずは軽く。

基準④:1週間で振り返れる範囲にする

振り返りが遠いと止まります。短い周期が“続く”コツです。

判断基準は「一言」にすると強い

例:「迷いが減るか?」「次の一歩が増えるか?」
会議の最後にこの2つで決めると、速くなります。

会議を増やさない運用(週15分の回し方)

仕組み化で失敗しやすいのは「会議が増える」ことです。
共創は、軽く回せるほど続きます。おすすめは週15分です。

5分

前回のテスト結果(事実だけ)

数字・問い合わせ・反応の変化。解釈は後でOK。

5分

学び(1つだけ)

「わかったこと」を1つに絞る。増やさない。

5分

次の一手(小さく1つ)

やること・期限・担当を決めて終わり。

続く条件

①時間が短い/②決めることが少ない/③次の一手が具体。
この3つが揃うと、共創は“習慣”になります。

社内の合意を作るコツ(反対を減らす)

仕組み化は「正しさ」で押すと反発されやすいです。
反対を減らすコツは、次の2つです。

コツ①:期間を区切る

「まず1週間だけ」「今月だけ」など、短く区切るとOKが出やすいです。

コツ②:判断基準を共有する

「迷いが減るか/次の一歩が増えるか」で判断すると合意が早いです。

避けたい:このやり方が正解です
おすすめ:1週間試して、迷いが減るか見ませんか?
避けたい:今のやり方は古いです
おすすめ:お客様の不安が残っていたので、ここだけ直したいです

今日から使える:運用テンプレ3点(コピペOK)

最後に、すぐ使えるテンプレを3つ置きます。
まずは「共創メモ」だけでもOK。慣れたら増やします。

テンプレ1

週15分メモ

事実/学び1つ/次の一手1つ。

テンプレ2

判断基準メモ

迷いが減る? 次の一歩が増える?

テンプレ3

引き継ぎメモ

背景/今の仮説/次にやること。

週15分メモ(コピペOK)

事実(起きたこと):__________

学び(1つだけ):__________

次の一手(小さく1つ):__________

担当/期限:__________

引き継ぎメモ(コピペOK)

背景:__________

今の仮説:__________

直近のテスト:__________

次にやること:__________

判断基準:迷いが減る? 次の一歩が増える?

要点まとめ(3行)

  • 学びが消える原因は「頭の中」「判断がゼロから」「熱量頼み」。
  • 型は「テンプレ・ルール・運用」の3つで作る。まずは1枚の共創メモから。
  • 週15分で“事実→学び1つ→次の一手1つ”に絞ると、会議を増やさず続く。

次の一歩

現場に合う“回る型”を、短時間で整理します

章の内容を踏まえて「どこから始めるのが最短か」を一緒に整理します。 まずは気軽にどうぞ。

※ご相談後に無理な営業は行いません。