あれはちょうど2年前の冬でした。中間さんから共創マーケティングの話を聞いて「それは面白いですね!!」と口では言ったものの内心は(あぁ、よくあるリサーチ会社でしょ。
適当にアンケートに答えてさ。そのデータを分析してさ。本当にそんなんでよい商品ができるのかな?主婦の意見を聞くんだったら家に帰ってお母さんに聞くのが安上がりでいいよ。)というのが僕の第一印象です。
それに、弊社社長にこらぼたうん様のことを話した時だって
「ふんっ、消費者の意見を聞くのにお金をかけるだって?そんなのだったらスーパーにでも行って直接話でも聞いて来い!うちみたいな会社はな、どれだけ開発コストを下げるかにかかっているんだ。大手企業みたいにマーケティングにお金を掛けることはできないんだよ。社内で知恵を絞って頑張れ!」
こんな感じで正直に言うと、こらぼたうん様には不安不信のほうが大きかったのが今だから言える本音です。
まぁよくある企業の商品開発の現場じゃないでしょうか。もっと醜くなると、誰かの斬新なアイディア(はたからみるとただの思いつきなのだが)で舞い上がって‘エイヤー’って気合で商品を作る。
しかも、そんな時はあまりにもその思いつき商品が凄すぎて他社に真似されないかと心配し、社内で極秘に商品開発プロジェクトは進められます。
例に漏れずうちの会社も2年前に新商品を出したときはそうでした。
その際はこらぼたうん様とはお仕事はしなかったのです。
そして新商品の発表。
社内で力を合わせて作った商品です。徹夜もした。自信もある。目立った競合もいないし気合も十分。こりゃ売れるでしょって少ない営業で全国を飛び回り売りまくりました。
ただ、しばらく経ってみるとお店で売れていない・・・。2ヶ月後にはお店から売れないので返品したいとの電話。びっくりというより、愕然としました。このままではヤバイって。
「なぜだ!?そんなはずは無い!広告が足りないのか?商品は良いはずだ!営業担当者が悪いんだ。もっと頑張って売って来い」
そんな意見が社内に出始めたときは時すでに遅し。社内の士気も低下していき、当初勢いのあった売上もどこかに消えていきました。
そんな時でした・・。
中間さんから
「もしかしたらその商品は消費者に伝わっていないんじゃないかな?もともと伝わらない商品なのか伝え方が悪いか・・・。良かったら一度来てみない。」
とお話を頂き、藁にもすがる思いでこらぼたうん様に行きました。

そこにはお子様を連れた主婦の方々がいました。僕は自信をもって「これ、どう思いますか?」と机の上に自社商品を置きました。
10秒の沈黙。皆さんの顔を見ると「???」って顔をしている。すると、ある若い主婦の方が身を乗り出し
「えっと、これなんですか?」
・・・。そりゃそうだ、商品の情報もきちんと話をしていなかった。僕はひととおり商品の説明をした。ついでに僕の商品に対する熱い思いまで。
そこでやっと主婦の方が
- 「へぇ・・・欲しいけどその値段じゃいらない」
- 「私は主人に買ってあげても良いけど・・・」
- 「確かに良い商品かも知れないけれど、これじゃなんなのか分からないわよ」
- 「私はいらない」
など、様々な意見がわんさか出てきました。
これが消費者の本音か・・・。耳が痛い。
僕はこの時初めて現実を知りました。(消費者とメーカーの意識には大きなギャップが生じている!)ということを。
そんな失敗を経て、社長に頼み込みました。
「お願いです。こらぼたうん様の意見を聞かせて下さい。」
社長は渋々ながらもOKを出してくれました。
そして、こらぼたうん様で商品開発をすることになったのです。
でも、最初は不安でいっぱいでした。
本当に主婦の方々に商品開発なんてできるのか?
素人の意見を聞いて本当に売れる商品ができるのか?
でも、そんな不安は最初の会議で吹っ飛びました。
主婦の方々は商品を見た瞬間、鋭い指摘をしてきました。
- 「このパッケージじゃ魅力が伝わらない」
- 「この機能は良いけれど、価格が高すぎる」
- 「もっとこうしたら、私は買いたくなる」
自分たちだけで考えていたら絶対に出てこない発想や意見が、次々に出てきたのです。
しかも、それらの意見は単なる批判ではなく、ちゃんと「どうすれば良くなるか」という提案でした。
正直、目からウロコが落ちる思いでした。
そこから商品開発は加速しました。
主婦の方々の意見を取り入れながら、試作品を作り、また意見をもらい、改良する。
このプロセスを何度も繰り返しました。
当然、開発には時間も手間もかかりました。
でも、みんなが本気で「どうすれば買いたくなるか」を考えてくれた結果、
今までにない、本当に消費者のニーズに合った商品が完成しました。
そして発売。
結果は・・・
大ヒット!!
売れる売れる。
今まで苦労して頭を下げても取ってもらえなかったお店から、向こうから「仕入れたい」と電話が鳴りました。
返品どころか、追加注文の嵐。
社内の雰囲気もガラリと変わりました。
あの時、あのタイミングでこらぼたうん様と出会えて、本当に良かったと思います。
あの時、中間さんに声をかけてもらっていなかったら・・・。
きっと僕たちは、今でも自己満足の商品を作り続けて、会社の未来を閉ざしていたと思います。
最後に。
こらぼたうん様に出会って、僕たちは商品開発の意味を知りました。
「自己満足ではない、本当にお客様が求める商品を作る。」
これこそが、売れる商品作りの本質だと、身をもって体験しました。
中間さん、本当にありがとうございました。
これからも、どうぞよろしくお願いします。
株式会社シービージャパン 井上 勝雄