未来新聞ワークで「共有された未来像」をつくる
── 企業研修への活用と価値共創マーケティング

「未来新聞」は、単なるアイデア発想ワークではなく、組織と生活者が“同じ未来”を描き、その実現に向けて共に動き出すための起点になります。
ここでは、企業研修・ワークショップで未来新聞をどう活用できるのか、そして価値共創マーケティングとのつながりをわかりやすくご紹介します。

※基本的な定義は「未来新聞とは(用語集)」で整理しています。用語の意味を確認したい方は、そちらも併せてご覧ください。
「未来新聞とは」用語集ページはこちら

1. 未来新聞とは? ─ 「達成された未来」を記事にするワーク

未来新聞とは、「数年後、理想の成果が実現した」という前提で、新聞記事風にストーリーを書く手法です。

未来新聞ワークショップの様子
研修セミナーでワークを進める様子

未来新聞とは、「数年後、理想の成果が実現した」という前提で、新聞記事風にストーリーを書く手法です。

  • ● いつ頃の話か(◯年後・◯年◯月)
  • ● どんな見出しで報じられているか
  • ● どんな人たちが喜んでいるのか(顧客・社員・地域など)
  • ● 何が評価され、どんな変化が起きているのか

こうした要素を、新聞の一面記事のように書き出していくことで、参加者それぞれの頭の中にあった“バラバラのイメージ”が、1枚の紙に可視化されていきます。

未来新聞のポイント

  • ・「こうなったらいいな」という抽象的な願望を、具体的な場面・ストーリーに落とし込める
  • ・実現したいのは売上だけでなく「誰の、どんな笑顔なのか」が見えてくる
  • ・バックキャスティング(未来からの逆算)の起点として使える

2. なぜ企業研修で注目されているのか

企業研修・組織開発の現場では、

  • ・部門ごとにゴールのイメージが違う
  • ・短期の数値目標ばかりが前面に出てしまう
  • ・「なぜこの仕事をするのか」という意味が共有されていない

といった課題がよく聞かれます。

そこで未来新聞を活用すると、次のような効果が生まれます。

◆ 組織開発としての効果

  • ・役職や部署を超えて「同じ未来像」を語れる
  • ・数字だけではない、仕事の“意味”や“誇り”を再確認できる
  • ・対話を通じて、心理的安全性のある場づくりにつながる

◆ 戦略・企画としての効果

  • ・事業の「ありたい姿」が言語化される
  • ・社内合意のベースとなるストーリーができる
  • ・中長期の施策やKPIを考える“軸”が明確になる

3. 価値共創マーケティングとの深い関係

価値共創マーケティングは、企業と生活者が一緒になって「意味のある価値」をつくり出していく考え方・実践です。
ここで大切になるのが、「何を売るか」ではなく「なぜそれが価値なのか」という文脈価値です。

未来新聞は、この文脈価値を引き出すのにとても適したワークです。未来の新聞記事には、次のような内容が自然と書き込まれます。

  • ・その商品・サービスによって、生活者のどんな悩みが解消されたか
  • ・地域や社会にどんな良い変化が起きたか
  • ・社員自身がどんな誇りを感じているか

つまり未来新聞は、 「企業の視点」と「生活者の視点」をつなげて未来を描く共創のツールと言えます。

4. チームビルディングとしての未来新聞

こらぼたうんの支援でも、未来新聞は次のような場面でよく使われます。

Case

新商品開発プロジェクトのキックオフや、共創プロジェクトの初回ワークとして、
「このプロジェクトがうまくいった1〜3年後、どんな新聞記事になっていたら最高か?」をテーマに、部署横断のメンバーで未来新聞を書きます。

このプロセスを通じて、

  • ・普段の会議では出てこない、メンバーの「本当に大事にしたいこと」が見える
  • ・目先の施策ではなく、中長期のありたい姿が共有される
  • ・上司・部下の関係を越えた、フラットな対話が生まれる

など、チームビルディングの効果が自然と得られます。

5. 新規事業・商品開発への応用

未来新聞は、新規事業・商品開発のフェーズでも活用できます。例えば、

  • ・「◯年後、この商品がどんな人に愛されているか」をテーマに未来記事を書く
  • ・生活者の立場で「◯◯さんのおかげで、うちの暮らしがこう変わった」という利用者の声風に書く
  • ・経営層の視点で「地域からこう評価されている」という社外の評価を書いてみる

こうして複数の視点から未来を描き出し、その共通点を探っていくと、

  • ・その事業が「選ばれる理由」
  • ・価格だけに頼らない「共感軸」
  • ・ストーリーとして伝えるべきメッセージ

といった、共創マーケティングに不可欠な要素が浮かび上がってきます。

6. こらぼたうん版「未来新聞ワークショップ」の流れ(イメージ)

ご相談内容や対象者によって設計は変わりますが、代表的なパターンを例としてご紹介します。

◆ 2〜3時間のコンパクト研修(社内向け)

  1. 1)導入:未来新聞とは? 共創マーケティングとの関係を解説
  2. 2)個人ワーク:一人ひとりが「理想の未来記事」を書いてみる
  3. 3)小グループ共有:記事を持ち寄り、共通点・違いを話し合う
  4. 4)グループ版未来新聞づくり:意見を統合し、チームの未来記事を作成
  5. 5)全体共有・振り返り:気づきと、明日からの一歩を言語化

◆ 半日〜1日の共創ワークショップ(生活者との共創も含む)

  1. 1)生活者インタビューや買い物同行などで“今”を深く知る
  2. 2)インサイトの整理:「本音」や「隠れた願い」を抽出
  3. 3)未来新聞づくり:企業・生活者が一緒になって「理想の未来」を記事化
  4. 4)バックキャスティング:未来から逆算して、必要なアクションを洗い出す
  5. 5)社内での活用設計:企画書や社内プレゼンへの落とし込み方を検討

このように、未来新聞は単発のワークで完結させることも、共創プロジェクト全体の“核”として位置づけることもできます。

7. 導入のステップ ─ まずは小さく試すところから

こらぼたうんでは、いきなり大規模な全社研修を行うのではなく、次のようなステップでの導入をご提案しています。

  1. ① 課題と目的のヒアリング
    「何のための未来新聞なのか?」を一緒に整理します。
    例)新商品開発/部門横断プロジェクト/次世代リーダー育成 など
  2. ② 小さな単位での試行
    まずは1チーム・1部署など、コンパクトな単位で半日〜1日のワークを実施し、手応えを確認します。
  3. ③ 社内展開・共有
    未来新聞で描かれたストーリーを、社内資料やプレゼン、施策検討の場で活用していきます。
  4. ④ 共創マーケティング全体への接続
    必要に応じて、生活者との共創セッションや、インサイト発掘ワーク、KPI・評価設計などにもつなげていきます。

8. よくあるご質問

Q. 参加者は何名くらいから対応できますか?
A. 少人数のプロジェクトチーム(4〜6名程度)から、部署単位・全社研修まで幅広く対応可能です。目的や会場環境に応じて設計いたします。
Q. オンライン(ハイブリッド)でも実施できますか?
A. はい、オンラインホワイトボードツールなどを活用し、オンラインや拠点間接続での実施も可能です。現場のご状況に合わせてご相談ください。
Q. 自社でファシリテーションできるようになりたいのですが…
A. 研修として実施しながら、社内ファシリテーター育成を組み合わせることもできます。進行台本やワークシートの設計支援も行っています。

未来新聞をきっかけに、共創の一歩を踏み出しませんか?

「まずは一度、内容を詳しく聞いてみたい」「うちの課題に合うか相談したい」といった段階でも大歓迎です。
業種・規模・体制に合わせて、ムリのない小さな一歩からご提案いたします。

※本ページの内容は一例です。実際のプログラムは、貴社の状況・目的に合わせて個別に設計いたします。