共感力を育む共創マーケティング

共感を育む共創マーケティング

新型コロナで加速する価値観の多様化 

価値観の多様化といわれて久しい訳ですが、さらに新型コロナウイルスの影響より一層加速しています。

 

旅行や外食などの外出型の消費が減る一方で、家の中で楽しむいわゆる巣ごもり消費が活発化し、巣ごもり生活を充実させるためネット通販や動画配信サービス・電子書籍や通信教育関連のサービスなどなどのデジタル消費は増え、消費構造も大きく変わってきました。

 

新型コロナによって消費行動が変わったというよりも、これまで生じていた流れが加速したに過ぎないのかも知れません。

 

事態が終息したとしてもアフターコロナ・ウイズコロナでは、価値観・行動の変化は一時的なものに留まらず、生活者の中で定着していく可能性が高いと思われます。

「共感力」がキーとなる 

このような状況下におけるマーケティングでは、対象となる市場を細分化する場合、従来通りの細分化の切り口として使用されてきた人口統計学的属性である性別、年齢、所得、職業、や家族構成などその人のもつ社会経済的な特質データでは、もはや昨今の消費者の多様化は捉えきれません。

 

以前と比べてライフステージの規定は流動的になり、伝統的な人口統計学的属性による細分化だけはなく、ライフスタイルや価値観、趣味嗜好など心理的な側面や商品に対する知識や購買頻度、利用頻度など、行動パターンなども考慮する事が必要となってきます。

 

しかし、そんな中でもどんな価値が受け入れられるかを探し当てようとする正解探しでは、時間がかかりすぎてしまい変化に追い付けません。

 

また、ニーズを正確に捉えようとするだけでは、多くの人に響くような価値を生み出すことは困難です。

 

 

多様化する価値観を理解し、そして生活者に支持される商品を生み出す価値を構築するために重要となるものは「共感力」です。

 

ここで言う共感力とは"価値観を共有する力"です。

 

この「共感力」は自分の想像力をフルに働かせて相手の立場に立つことで育まれるものです。

「共感力」を育む共創マーケティング

価値共創マーケティングのシーン
こらぼたうんにおける価値共創マーケティングのシーン

企業が行う一般的なマーケティング活動では、企業側が一方的に生活者のニーズを調査し、商品やサービスを企画開発します。

 

一方で共創マーケティングは、商品やサービスの開発における初期段階から対話を中心に顧客と直接交流して商品やサービスを創り上げていきます。

 

自分も生活者も気づいていない真の目的を互いの対話によって発見し、新しい価値を創造することを目的としているのが価値共創マーケティングです。

 

自ずとスタートは生活者に寄り添い共感することです。したがって、共創の過程において「共感力」は自然と身に付きます。

 

デザイン思考・デザインシンキングにおける最初のステップである「共感ステージ」においても同様です。

 

「共感」を得たいなら、相手のこと知ろうとすることから始めます。企業と生活者の間柄であっても同じことが言えるのです。

 

SNSなどソーシャルメディアの発達により情報過多になり、生活者は興味のある、すなわち「共感」できる情報しか受け取らなくなりました。

 

リアルであってもそうでなくても人と人とのつながりが途切れない以上、共感力が強いという事は強力な能力なのです。

 

なぜならば、企業におけるマーケティング活動は、顧客の共感を得るための活動といっても過言ではないからです。

まとめ 

「共感」と言うと何となく相手の自己中心的な感情の部分に左右されてしまうと思われがちです。

 

しかし、実は感情的でありながらも一方で自己の損失をかえりみず、他者の利益を図ろうとする利他的な感情も含まれます。

 

生活者各自にとっての社会的課題の解決を考え、そうした課題に取り組む企業(事業者)を応援しながら消費活動を行う論理的消費いわゆるエシカル消費にも影響するのが現代おける「共感」に含まれる要素です。


なので、企業(事業者)は自社さえ良ければ良いという発想では「共感」される事はないと認識すべきです。



結局は人と人の繋がりです。

 

狙うのではなく、企業における組織人であっても人としてお客様のことを考え、共感力をフル活用して商品・サービスを作り、マーケティング活動していくことが大切です。



中間祥二 株式会社こらぼたうん代表取締役