
競争しない独自化のすすめ
よく言われますが「ドリルを買う人が欲しいのは『穴』である」というものがあります。
顧客は「穴を開けたい」欲求を解決する手段としてドリルを選んだにすぎません。
モノやサービスを買うのは、モノやサービス自体が欲しいからではなく、それらによって何らかの欲求、ドリルであれば「穴を開けたい」という欲求がそうさせます。
モノやサービスを売るには、そうゆうことを察知し顧客にとっての価値を起点にして考えてみるべきという事を示唆しています。
つまり、「どういったお客様に対して今よりもハッピーな状態になってもらうためには、どんなカタチで歩み寄るのか」を突き詰めることです。
これができればどこにも負けない独自な価値を生み出す事になります。
この顧客にとっての価値を発見し独自な価値を提供できれば、他社との競争に巻き込まれる事はありません。
つまり独自化していくことが重要です。
差別化と独自化は違う
そもそも「差別化」と「独自化」とは異なります。
差別化とは同じものや同質であるものの中から違いを作ることであり、相手とどのような差をつけるか、どのような違いを出すかといった、相手との競争に勝つためのものです。
独自化とは比較をされないものであり、そもそも競争がありません。
競争しなければ負けることもありません。
見るべき相手は競争相手ではない
スティーブ・ジョブスの名言に以下の言葉があります。

マーケティングは恋愛に例えられることも多いですが、差別化より独自化すべきと言うことを、女性への贈り物を例えにして端的に表現しています。
ライバルの言動ばかり見て、相手のことを見ていない男性が女性からモテないということでしょうか。
これを企業に置き換えてみると、同業他社の動向ばかりを気にして、顧客のことを考えていない企業が提供する商品やサービスは、顧客には響かない、魅力が無いということです。
中小企業こそ独自化を
差別化で勝負しようとすると、他社との競争の中での勝負となり、結果として資本力のある大手企業には勝てません。
そもそも差別化は競争を前提としています。差別化戦略を続ける限り中小企業は疲弊してしまいます。
既に市場には多くの商品やサービスが存在します。だからといって顧客が抱えている問題をすべて解決できているわけではありません。
また、顧客自らが抱えている問題に気がついていない場合もあります。
売り手都合になりがちな考えを見直して買い手都合に転換できればまだ満たされていない問題やまだ誰も気がついていない潜在的な欲求を満たすことが出来るはずです。
お客様をよく見ましょう。これこそが独自化への第一歩であり、この独自化こそ中小企業が目指すべき方向です。